学習する植物の遺伝子

07070301クイズではありません。割と知られている花をアップでご紹介します。
これはヤマボウシの花です。
白い大きいのは総包片で、花びらではありません。
真ん中のボール状のものは花托と言って、果実になる部分です。

花托からニュッと飛び出している俵型のものが蕾です。それが割れて(つまり開花して)雄しべと雌しべが出てきます。
この花托の中で受粉した雌しべの根元が大きくなって、花托のまま大きくなったような果実が出来ます。
集合果と呼びます。イチゴなどがそうですね。
小さい果実しか付けることの出来ない植物が、集合果ととして大きな果実になる目的は何でしょう。
小さな鳥より飛翔力のある大きな鳥に食べてもらうことで、より遠くへタネを運んでもらう計略なのかも知れません。
そんな知恵をこの植物の遺伝子は長い時間の学習で得てきたのかも知れません。

07070302これはムシトリナデシコ。
名前は「虫取り」ですが、食虫植物ではありません。
花のある茎の途中に粘液を出す部分があって、アリなどの地面から歩いて上ってくる虫に蜜を取られるのを防ぐ仕組みです。
花びらは5弁ですが、中央部に尖った花びらのようなものが王冠状に付いています。
これもアリが蜜のある花筒の部分に入りにくくするための障害物でしょう。
写真では分かり難いですが、花の中心は筒状に深くなっています。
それは、長い吸い口を持つチョウだけが密にありつける仕組みとか。
要するに「アリは蜜だけを持って行ってしまい受粉に貢献しない」ことを、この花の遺伝子が長い時間をかけて学習してきたと言っても良いかも知れません。
日常割合良く目にする植物でも、不思議な能力を持っているものですね。

まあ、学習ではなくて進化だと言ってしまえばそれまでですが、何万年もの時をかけて生死を繰り返しながら「遺伝子が学んできた結果」として今の姿があると考えてみるのも面白いじゃないですか。
遺伝子の学校に「試験」は無いです。
ただ「落第」があるのみです。試験も無しにいきなり落第・・それは淘汰(死)なのです。

お馴染み「北杜市アルファブログ "Hokuto In Our Time"」の今週のテーマは「試験」です。
私の火曜アルファは「試験が必要?」というタイトルでアップしました
お時間がありましたら是非ご覧ください。

“学習する植物の遺伝子” への2件の返信

  1. オーストラリアに花弁が虫の雌そっくりになった植物があったけれど、
    なぜそこに来る昆虫の姿がわかるのか?
    ものすごく不思議でした。
    進化って不思議ですね。
    落第あるのみの試験って命をかけた真剣勝負ですね。

  2. exifさん、いらっしゃい。
    そうなんです。
    花には目がある訳じゃないのに虫の姿が分かる・・・
    有り体に言えば、似せようとして似せたのではなく、たまたま模様が似ているものだけが
    生き残ったという、進化の結果です。
    似ていないやつはみんな死んじゃったんだから、スゴイですよね。

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