指定管理者制

05120701北杜市は7町村が合併して昨年(2004年)出来た新しい市です。
合併前に、各町村が勝手に箱物を建設したこともあって、市で運営しなければならない公共施設は相当な数に上ります。どっちにしても火の車の財政状況を何とか打開しなければならないとの事で、それらの施設の運営を民間に任せる「指定管理者制」を導入する事になっています。(続きは長文です)


箱物行政に対する批判や、指定管理者制そのものの是非については、ここで話題にするつもりは無い事を最初にお断りしておきます。
また、大まかな状況を説明して考えを述べるものですから、数字的にデータ検証しているわけではないことをご承知ください。

北杜市長坂スポーツ公園をご存じでしょうか?
元長坂町の施設で「かいじ国体」の時に会場となった体育館を中心に、野球グランド、柔剣道場、芝生のサッカーグランドとその外周の400m陸上トラックなどがあります。
このスポーツ公園も指定管理者制の対象となり、希望者が募集され三社が立候補しています。
一社は長坂町時代から今まで運営していた「八ヶ岳ふるさと財団」(元長坂町長の小沢さんが社長)です。
もう一社は、清里の「丘の公園」です。丘の公園は元々山梨県の施設だったゴルフ場を中心とした施設で、やはり指定管理所制の導入で管理者になった会社です。親会社というのでしょうか資本は「セラヴィリゾート」です。
三社目は、NPOである「八ヶ岳北杜グランデフットボールクラブ」です。
このクラブは小淵沢町(来年は北杜市と合併します)在住の田畑雅宏さんが発起人であり理事長を務めるクラブで、会員は現在約150人です。田畑さんは、20年以上に渡って地域のサッカー振興と指導に尽力してきた人で、日本サッカー協会の公認指導員の資格を持ち、山梨県サッカー協会の理事でもあります。

この三社のいずれかが選ばれるわけですが、何を基準に選ばれるのかという点が気になるのです。
先ず選考委員(市議)の方たちが、スポーツ施設の何たるかを理解していないようです。資本のある企業に任せておけばよいと、安易に考えているようです。公聴会というのでしょうか? 田畑さんたちはNPOなので企業のように資金があるわけでもなく、暗に他社と比較するような物言いをされたという事です。
しかも、このような公聴会であることの連絡が5日前に電話のみで「11/28の13:40分に来てください。20分程度です。特に用意するものはありません。」だけだったと言うのです。その後は連絡もないそうで、これは20分の1回だけでこれだけ重要な事が決定してしまうのかと心配になります。
田畑さんは「この1回だけで決定するのであれば、その旨を書面で告知するべきだと思いますし、追加資料等も提出できました。私の方では今後のスケジュールの説明会と認識していただけにとても信じられませんでした。また、選考委員の方の的を射ていない質問にはビックリしました。」と、話しています。

現在、長坂スポーツ公園の年間維持費は3,200万くらいと聞きました。その内の人件費が1,900万程(役務費900万を含む)とか。多分丘の公園では、全ての経費かそれ以上の額を出してきたのかも知れません。

田畑さんの方は、約150人の会員とその家族合わせて300人のボランティア運営を提案しています。
先ずスポーツ公園の赤字の原因は稼働率の低さです。特にサッカーグランドは芝生が痛むのでスパイクシューズ禁止(1日4時間以内、次の日は使用不可等)とか、整備の予算がないから貸し出さないとか、全くバカな理由で自分の首を絞めているような物なんです。そのグランド整備をクラブ員のボランティアによる人海戦術でこなしていけば、人件費を削減できるし、今まで業者に発注しなければならなかった費用も減らすことが出来る訳です。
お金を出すという方法でなく、メンバーのボランティアで人件費を減らす事と同時に、合宿や大会を招致するとか、稼働率を上げることで黒字施設を目指す訳です。

あちら側は企業ですから多額の資金を投入して施設を整備し、宣伝し、しかも同じセラヴィリゾートの系列のホテルや貸別荘の利用客にそれなりの使用料でスポーツ施設を貸すことで採算を取るでしょう。
しかし、地元のサッカー愛好者やクラブチームが手頃な使用料で使えるか、予約が取れるかという疑問が残ります。

20年以上サッカーに関わってきた田畑さんの経験とコネクションはダテじゃありません。
しかもこのサッカーグランドは、日本サッカー協会の推薦も取れる仕様で作られています。田畑さんは山梨県サッカー協会の理事ですから、既に山梨県サッカー協会の推薦と公認、日本サッカー協会からの推薦もOKを出せる準備を進めているそうです。
上手に管理整備していけば大変良いグランドになるので、1,000人規模の大会を年に何回かは招致できるし、それが市内の宿泊施設や飲食店に及ぼす経済的効果は大変大きい物になるでしょう。

しかも運営が非営利のNPOで、メンバーはほとんどが地元北杜市の市民ですから、地元の愛好者が利用しにくくなる心配もないわけです。
何年後かには黒字を出して、市から費用を出す必要もなくなるはずです。
また、長坂総合スポーツ公園の場合は、ながさかげんき百歳センター・長坂共同福祉施設を一括で指定管理者を募集されたことからも、一企業ではなくNPO等の地元の団体の方が良いと思うのです。
市民のための施設を市民の手で運営すると言うことです。

あちらが指定管理者になった場合は、最初から市の負担は無くなるかも知れませんが、相手は営利企業ですから、利益が出ないとなれば手を退いてしまう可能性もあります。残るのは荒れ果てた施設だけという結果も無いとは言い切れないです。
何せ親会社は「大地の園・閉鎖」で大きな問題を起こした「セラヴィリゾート」です。どう考えても信用できるとは言えません。

田畑さんについては、八ヶ岳ネットワークのメンバーでもあるし、私の信頼する大事な友人の一人です。
だからこの記事も、どう考えたって贔屓して書いていますし、私は彼を応援しています。それははっきり認めますが、だからと言って全く信頼できないセラヴィの絶対評価が上がるものではないでしょう。

はっきり言って「金を沢山出す方に決める」と言うのなら勝負にならないし、たしかに金額で決定というのも公平と言えば公平です。市としては一銭も出さないで済む方に決めると言うなら、それもやむを得ません。
しかし、それならそれで「どういう基準で決めたか」「金額の多い方に決めました」と市民に公表するべきでしょう。

指定管理者を何処にするか、その結論はまだ出ていません。
(既に内部では決まっているのかも知れませんが。)
このままでは一般市民が何も知らされずに終わってしまうのではないでしょうか?
皆さん、ぜひ注目していてください。

参考サイト
長坂総合スポーツ公園等指定管理者の募集」(募集は既に締め切られています)
長坂町・スポーツ公園」(旧長坂町のサイトより)
八ヶ岳北杜グランデフットボールクラブ

“指定管理者制” への11件の返信

  1.  私の知り合いの市議はサッカーに精通しています、その市議が選定委員に入っているかどうかは判りませんがその方が居れば安易な決定は無いと思っています。
     
     ただ、私が心配しているのは、この「長坂総合グラウンド」は北杜市で最大の面積を持つ施設であり、それをサッカーと言う一スポーツ団体に管理を任せる事の弊害です。例えばサッカ-以外の競技がこのグラウンドを使用しようとしたときに、サッカーを優先させられてしまわないか?サッカーグラウンドのみに目が行きそれ以外の施設、テニスコートや野球グラウンド、柔剣道場などの保守管理が疎かにならないか?と言う事なのです。
     実はこの事例は隣の韮崎市がサッカーに力を入れすぎたために実際に起きた事例です。(他競技の父兄から聞いた話ですので、私自身確認はしていません)
     これらの不安が解消されるならば、特定種目のNPOに任せる事が良いと思います。 

  2. tosiさん、いらっしゃい。
    ご心配はごもっともと思います。
    私の友人なので、私は贔屓目で見ているはずです。(笑
    でも、管理者として一つのスポーツだけを優遇するような人間でないことは保証します。
    少なくとも、今までのように宝の持ち腐れで使えない状態になることはないだろうし、
    市民が中心のNPOであれば、運営に市民の希望を入れていくことも可能でしょう。

  3. また こんなところで名前が出てしまいましたね あの会社。
    懲りないと言うか それとも単なるバカな経営者なのか・・・。
    「地元のことは地元に」と言う感覚がまるでないですね 相変わらず。ボクはどっちを贔屓にと言う感覚はありませんが メインの自社施設を維持できずにいる会社に任せるような決定はないはず、と思いますが。
    先日も足を運んだ「大地の園」は廃墟のようでした。辞めていった人間を呼び戻して清里ホテルの運営に当たらせています。
    結局 自分たちのノウハウでは管理維持出来なかったと言うことを露呈したわけです。あの素晴らしいスポーツ施設を任せられるとは思いません。
    どうか 良い方向に決定しますように・・・m(__)m
    追:箱根にもホテルをOPENさせるとか・・・先は見えてますが。

  4. やんまさん、いらっしゃい。
    大地・・のすったもんだを知っている人には納得できないでしょうね。
    無許可の大規模開発をして県から指摘されたのに原状回復もなく済まされて、
    それがまた県の施設(丘の公園)の指定管理者になってるんですからね。
    裏があると見るのが普通でしょう。

  5. こんにちは  この記事、興味深く何度も読んでしまいました。そして、ちょっと気になる箇所があったので、一言いわせてください。
    >何を基準に選ばれるのかという点が気になるのです。先ず選考委員(市議)の方たちが、スポーツ施設の何たるかを理解していないようです。
    選考委員会が出した結果は、議会で決定されます。委員会の構成員は、地域の代表、利用者・経験者代表、公認会計士又は税理士、市職員で、市議は入っていません。というか、プロセスとして入れないのですよね。
    >このままでは一般市民が何も知らされずに終わってしまうのではないでしょうか?
    皆さん、ぜひ注目していてください。
    議会が今開催中です。議員さん達の健闘に期待しましょう。情報開示についても、期待したいところで、私も多いに注目しています。

  6. mukai-mさん、いらっしゃい。
    カッコ書きにしたのは多少疑問もあったからなのですが、ご指摘ありがとうございます。
    市議は選考委員には入っていないというのは知りませんでした。
    そういうことは市民には知らされていないですね。
    是非この辺はオープンに、どういう経過で選考が進んでいるのかも公開して欲しいものです。

  7.  行財政改革の中の1つの大事な試みですが、制度云々を抽象的に議論するより、こうした例を見せてもらえると、みんながよく理解できると思います。
     それに、田端さんは僕も知り合いなので応援します(笑)。ぜひこのブログを多くの人に読んでもらいたいと考えたので、僕のブログで紹介し、TBも入れました。

  8. Joeさん、いらっしゃい。
    田畑さんをご存じでしたか。
    是非応援してあげてください。
    私の知っていることと言いたいことは、ほとんど記事に書きましたので繰り返しませんが、
    市民が分かる所で検討して欲しいし、市民が納得できるように決めて欲しいと思います。
    トラバとブログでのご紹介ありがとうございます。

  9. くまぱぱさん、こんにちわ。
    僕が最も気になることは、行政側に「自分たちは住民のためのサービス業をやっている」という意識が徹底してないと、どんな改革をしても、絶対にうまくいかないということなんです。
    そして残念ながら、いろいろな側面で、今の行政側にそうした意識は全く感じられないんですね。例えば、情報開示ということは、改革成功の必須条件なんですよ。それが全く蔑ろにされている。これではうまくいくわけがない。そこを少しでも補う機能を、ブロガーが果たせないかと、僕は思っています。
    それからコメントで「田畑さん」のことを、「田端さん」って間違ってしましました。田畑さん、もし見ていたら、ごめんなさい。頑張ってくださいね。

  10. Joeさん。
    おっしゃるとおりです。
    今の住民は知識レベルも意識レベルも高いですから、充分な情報開示をしていれば、行政には考えも
    及ばない素晴らしいアイデアを持っている人も居るはずなのに、それを利用しようとしない。
    つまり情報開示をしないのは勿体ない事なんですよね。

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