古いカラーポジの変色

07031501「過去ログ写真館/カラー」のシリーズで掲載している写真は、古いカラーポジをスキャニングしてデジタルデータにしています。
30年以上も前の写真もありますので、変色していて補正が必要なポジもあります。
今回はカラー補正の前と補正後の写真を比較してお見せしましょう。

左の写真は私がポジの保存に使っているファイルです。
FUJICOLOR SLIDE FILEというカラーポジ専用の商品です。
07031502ケースの中は左のようにポジが20コマ収録できるシートが15枚入っています。
シートは半透明の白で、このままライトボックスに乗せてポジの確認が出来ます。
カビ防止のために乾燥剤を入れてあります。

今まで「過去ログ写真館/カラー」に掲載した写真は全てこの同じファイルに入っていたものです。
だから保存環境は同一だといって良いでしょう。
それでも実際には変色具合にもかなりの差が出てきています。
ポジフィルムの品種による差が一番大きいような気がしますが、フィルムそのものではなく現像処理によるものかも知れません。
ともあれ、6っつのコマを用意しました。
それぞれのカラー補正前と補正後の比較をご覧ください。

以下の写真はいずれもサムネイルをクリックすると別ウインドウで大きい写真が出ます。
補正前と補正後の画像を一枚に繋げてあります。

撮影/1974年2月
フィルム/フジクローム
場所/東京・上野「国立博物館・表慶館」


このカットは変色があまりにも激しかったので過去ログ写真館への掲載は諦めた物の一つです。
Photoshopの自動カラー補正では補正しきれなかったので、手動でカラーバランスやトーンカーブを調整しています。
それでも建物前の植え込みなどは完全に潰れてしまって補正不可能でした。

撮影/1974年6月
フィルム/フジクローム
場所/横浜「天理ビル」


このカットも変色は激しかったのですが、何とか見られるレベルに補正できたので過去ログ写真館に掲載しました。
やはり、自動カラー補正だけでは不足で、手動でカラーバランスやトーンカーブを調整しています。
建物の円柱風の部分は、まだら状の色むらが出来ています。
上の写真にも言えることですが、当時のフジクロームは現像したばかりでもマゼンタかぶりの色のクセがありました。

撮影/1975年2月
フィルム/フジクローム
場所/京都・大原「寂光院」


寂光院の庭園でつくばいに流れる水を撮ったものです。
上の2点ほど激しくはありませんが、かなり変色しています。
特に緑色が変色しているようです。
フジクロームのマゼンタかぶりのクセがあるので、更に緑色は弱いようです。
水の流れの、本来白に近くなるはずの所が、補正前はかなりマゼンタ系になっていますね。

撮影/1975年2月
フィルム/フジクローム
場所/京都・大原「三千院近くの蕎麦屋」


この写真と、上のつくばいの写真はPhotoshopによる自動カラー補正です。
トーンカーブでコントラストと明るさを調整しましたが、カラーバランスまで操作する必要はありませんでした。
手前の傘の赤い色などは補正前の方が良いような感じですが、全体としては、やはり補正しなければなりませんね。

撮影/1971年12月
フィルム/エクタクロームX
場所/長野・佐久海ノ口「千曲川を渡る小海線のC56」


これは私が撮影したカラーポジでは一番古い物の1コマです。
若干青系に変色していますが、無補正でもそれほど変ではない程度です。
これはPhotoshopの自動カラー補正だけでもOKでしたが、トーンカーブで若干コントラストを高めてあります。
フジクロームのようなマゼンタかぶりがないので、白い部分はクリアーに抜けています。

撮影/1975年2月
フィルム/エクタクロームX
場所/京都・大原「音無の滝からの山道」


これは変色が殆ど無いといっても良いでしょう。
自動カラー補正を一応かけてみましたが変化は僅かで、明るさの調整がメインです。
カラーポジは露出オーバーになると明るい部分がすっ飛んでしまうので、私はほんの少しアンダー気味に撮影しています。その方が後で調整しやすいですから。
3枚目4枚目の京都の写真と同じ時の撮影ですがフィルムが違います。
保存状態は全て

“古いカラーポジの変色” への4件の返信

  1. 結構色が変わってしまうんですね。
    私も引っ張り出して見てみないと。
    ポジやプリントはパッと出して見ることが出来るので良いけれど、
    デジタルにしておくと変色は無くなるけれど、
    見るための手段が無くなったら、まったく見ることが出来なくなる。
    なかなか難しいですね。
    変色はフィルムの特性や現像、保管の仕方などで変わるので
    一概には言えないかもしれないですね。
    でもやはりコダックは優秀だったんだな〜と思ってしまいました。

  2. exifさん、いらっしゃい。
    当時は確かにコダックに一日の長がありましたね。
    プロラボではコダックの現像処理しか受け付けていなかったし・・その対策でフジクロームは
    E4処理(エクタクロームの標準現像プロセス)で現像できるように作られていたわけです。
    それでも当時はフジクロームを使うプロは少なかったでしょう。
    やはり何年もかけて製品の改良もしながら実績を作らないと、受け入れてもらえないですから。
    「見るための手段が無くなったら」・・・それはあり得ますよね。
    例えば「ベータ」のビデオテープみたいに規格がマイナーになって、今ではテープ持ってたって
    再生できる装置がないですもんね。
    (専門の所へ依頼したり、お金と時間をかければどうにかなるでしょうが。)

  3. 1枚目、2枚目・・・
    凄〜〜く、色が変わっているのがわかり、驚いています。
    でも、くまぱぱさんの解説でよくわかりました。
    フィルムも、かなり改善されていったんですね。
    4枚目とてもカラー補正で生き返っているな〜〜と思いました。
    これだけいいアングルの写真は、保存して置かないと
    やはりもったいないですね。

  4. ASさん、いらっしゃい。
    最初の2枚はホントに凄いでしょう。
    私もこれ程変色しているとは思わなかったんですが・・・
    ポジはまだまだ沢山ありますが、流石にこれ程ひどいのは他には無いようです。
    良い機会なので、写真として遺したい物はデジタル化しておこうと思っています。

コメントは受け付けていません。