DD53形除雪用ディーゼル機関車

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幹線・亜幹線用の大型除雪車です。
夏季にはロータリーヘッドを取り外して、普通のディーゼル機関車としても使えるようになっています。

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ロータリーヘッドには開閉式の「かき寄せ翼」があり、最大6mの幅を一度に除雪できます。
集められた雪はローターで奥に送られ、更に回転翼で遠方に投棄されます。

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機関車部分とロータリーヘッドの連結面です。
ロータリーヘッドには動力がないため、機関車から太い動力シャフトが接続されるなど、普通の列車の連結面とは全く違います。

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ロータリーヘッド上の除雪用運転席から遠隔操作で機関車本体を制御します。
丸いのは旋回窓で、ワイパーでは役に立たない吹雪でも視界を確保できます。

日本海側の湿った重い雪への対応で、機関車本体に1,100psのディーゼルエンジンを2基搭載しています。
通常の除雪では、1台のエンジンを走行用に、もう一台を除雪用に使いますが、大雪のときなどは両方のエンジンを除雪用としてロータリーヘッドの駆動に使うことも可能で、その場合には別の機関車で後部から押しました。
日本の鉄道史で最大最強力の除雪用機関車であったことは間違いないです。

しかし、その強力さが別の問題を発生させました。
昔は、自動車も少なく道路整備も十分でない状況で、強力な動力は蒸気機関だけでしたから、充分な道路除雪は不可能で、鉄道が止まれば地域が孤立してしまい、人命に関わります。
ですから鉄道の除雪で多少の建築物の被害はやむを得ないと許容されていたわけです。
時代が進むに連れ沿線に家も増え、強力なDD53形の投雪により窓ガラスや屋根瓦を破損する事故が相次ぎ、その能力を発揮できる場所が少なくなって来たわけです。
1965年から3両しか作られなかったDD53は、1986年に1号機、2001年に3号機、2007年に運用停止した2号機が2010年に廃車となりました。
写真の1号機は、碓氷峠鉄道文化むらに保存展示されているものです。