上田電鉄の丸窓電車

11051101上田電鉄別所温泉駅」の続きです。
これが「丸窓電車」と呼ばれる、上田電鉄モハ5250形です。
この写真は、上田発の列車が別所温泉駅に到着する寸前に、車内から撮ったものです。



全長は約15m、3扉で、両運転台の小さな電車です。
当初の集電装置はトロリーポールだったそうですが、その後パンタグラフに換装されました。
11051102戸袋部分の窓が楕円形なのがよくわかるアングルです。
車体は、半鋼製と呼ばれる、木造電車から鋼製電車への過度期にあたるものです。
扉は木製で、手すりが雨樋を兼ねているのが分かります。
110511031928(昭和3)年製造です。
残念ながら結構傷んでいて、鋼製の部分はサビがかなり出ています。
木製の扉は本格的な補修が必要でしょう。
11051104足回りで目立つのは、車体を支えるような形に見える棒状のものです。
トラスバーと呼ばれ、台枠中央部が重さで下垂するのを防ぐための装置です。
新しい電車では見られなくなったものです。
110511055250型は3両製造され、上田電鉄の前身である上田温泉電軌で使われていました。
後に上田丸子電鉄、更に上田交通となり、分社化で現在の上田電鉄になっています。
3両とも、新造から廃車まで、この別所線を走り続けました。
11051106行き先表示板は、流石に何度か取り替えられたでしょうが、歴史を感じさせます。
この表示版が取り付けられている側は、工事のためシートが張られていたんです。
隙間から表示版のアップは撮れましたが、車体全体は無理でした。
11051107現在、別所温泉駅には、この5252号だけが残されています。
並んでいた5251号は解体される予定でしたが、希望者が居れば無償で譲渡すると発表したところ、多数の応募があり、地元上田市のさくら国際高等学校での保存活用が決まり、今年の4月16日に移設搬送されました。
2両並んでいる姿が見られなかったのは残念ですが、解体されなくて良かったです。
この5252号も、補修をした上で資料館として整備されることが決まっているそうです。
また、3両の内の最後の1両である5253号は、2005年に長野計器株式会社に引き取られ、同社丸子工場で内部を資料館として保存公開されています。

3両製造された全てが解体されること無く、保存されているというのは素晴らしいことだと思います。

昨日の記事の最後の写真に説明板があります。
そこに「5000形導入と共に引退」と書かれていますが、その5000形とは東急5000系(青がえる、青虫等と呼ばれる丸っこい電車)です。
現在、渋谷駅ハチ公前広場に車体の一部が展示保存されている5001号は、何と上田電鉄で走っていた車両です。
「車体の一部が展示保存」と書きましたが、それは台車を外され、車体も短く切り詰めれているからです。
それでもスクラップになってしまうよりマシなのかも知れませんが、既に電車とは言えない哀れな姿に見えてしまいます。
東急での現役時代に何度も乗ったことがある私としては・・上田電鉄の丸窓電車を見てきただけに、納得できないものを感じています。

次回は鉄道の話題から離れて、別所温泉をぶらりと歩いてみましょう。

“上田電鉄の丸窓電車” への3件の返信

  1. かなり傷んでいるけれど味のある電車ですね。
    綺麗にして保存してもらえると良いのだけれど。
    ハチ公前の東急の車両は確かに台車が無かったです。
    入った事は無いけれど残念な感じですね。
    結構好きだったのに。

  2. flipperさん、いらっしゃい。
    いい感じでしょう。
    この電車が作られた当時は、他にも丸窓の電車は結構作られていたそうです。
    現在保存されているのは上田電鉄の3両だけですから、大事にされていたことが分かりますね。
    東急5000系については、上田電鉄にあったものをわざわざ渋谷まで運んだのだから、どうせなら
    完全な形で保存して欲しかったです。

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