赤岳

06012901八ヶ岳の主峰「赤岳」標高2,899mです。
一般に「八ヶ岳」と言う場合、これらの山々を総称している訳で「八ヶ岳」という名前の山はありません。正しくは「八ヶ岳連峰」とでも言うのでしょう。
では「八つ」とはどの山を言うのかという議論もあります。

以前は周辺自治体毎に勝手な「八つ」を観光パンフレットに載せていました。(自分の所から見える山を八つというお粗末)
流石に最近それはなくなってきましたけれど。
「八つ」とは特定の八つの山を言うのではなく「たくさんの」という意味です。
たくさんの山に分かれる前は一つの大きな山だった、という所から富士山との背比べの民話も生まれたわけです。
参考サイト→「大泉方言民話(八ヶ岳と富士山)

くまぶろでも「雲の中に続く溶岩台地」の記事で書いたように、古阿弥陀岳という大変大きな一つの山であったことは確からしいのです。
では、富士山と古阿弥陀岳(八ヶ岳)の背比べ、実際にどちらが高かったのでしょう?
結論から言うと、どうやらこの背比べは成立しないのです。
民話では「年代」が無視されているからです。実際に古阿弥陀岳が噴火による山体崩壊を起こしたのは20万年くらい前と言われています。一方富士山の方は8万年から1万5千年前の間に古富士噴火と呼ばれる噴火で今の富士山の形が出来てきたわけです。それ以前にも小御岳火山という、今の富士山の五合目辺りが山頂の山はありましたが。
両方の山が最高に高かった時期が一致しないのです。
要するに大人と子供の背比べです。八ヶ岳が元気な青年だった頃、子供の富士山と背比べして勝つのは当たり前。老人になってしまった八ヶ岳より青年に成長した富士山が高いのも当たり前。ですね。(笑

では敢えて年代を無視して、それぞれの山が一番高かった高さを比べればどうか?
古阿弥陀岳の標高は約3,400mと推定されていますから、やはり今の富士山の方が高いです。
それはどうしようもない事実と言っていいでしょう。だからこそ「昔は八ヶ岳も高かったんだ」という民話も生きてくると言うものです。

余談ですが、下の地図。「赤岳」という名前が無くて「八ヶ岳」になっていますね。
本当なら、山頂の所には「赤岳」とした上で、全体にかかる「八ヶ岳」を表記して欲しいものです。
赤岳

“赤岳” への6件の返信

  1. 本当に民話は面白いですよね。
    成立しない背比べですか〜〜!!
    でも、そんな大昔の山が1つだった話、人間は忘れずに伝えてきたんですよね。やっぱりいかに、山と共に暮らしていたかが、分かりますね。
    為になりました♪

  2. ASさん、いらっしゃい。
    この民話は、何時の頃から民話としてあるのかさえ分かりません。
    20万年前なんて旧石器時代ですからね。
    当然文字はありませんし、長老が村の若い人に話して聴かせるような事の繰り返しで
    長い時を経てきたのでしょうね。

  3. 地図上に阿弥陀岳ってあるけれど、これは今でもあるんですか?
    この山が20万年前は大きかったんですね。
    なかなか壮大な話ですね。

  4. exifさん、いらっしゃい。
    はい、阿弥陀岳は今でもあります。
    この山そのものが大きかったと言うよりは、赤岳や権現岳と同じように、古阿弥陀岳が
    崩れた跡に残った「高い部分の一つ」と言った方が正解だと思います。
    20万年って言うのは想像が付きにくい長さですね。

  5. 葡萄の予防を探してたらこのページにたどり着き赤岳の写真を見て感激。
    30年前に夏山登山で赤岳のルートを登り今でも鮮明に覚えております。
    当方62歳になりますが、出来ればもう一度登りたいものです。

  6. yamazukiさん、いらっしゃい。
    コメントありがとうございます。
    赤岳は良い山です。
    ぜひまた登れると良いですね。

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