八重山吹

06051603八重山吹が満開です。
弓なりに下がる枝に黄金のような輝きの花が連なる様は見事です。山吹色とは正にこのことでしょう。
この花も陽光の下より、雨や曇りの日のしっとりとした木陰が似合うようです。
参考サイト→「八重山吹 (ヤエヤマブキ)

昔、親に買ってもらったクレヨンに「やまぶきいろ」と書いてあって「きいろ」は分かるけど「やまぶ」とは何かと悩んだ記憶があります。(笑

七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに 無きぞ悲しき

八重山吹と言うとこの和歌を思い起こす人は多いと思います。
醍醐天皇の皇子、仲務卿兼明親王が子供の居ない寂しさを読んだ歌(後拾遺和歌集)とされていますが、太田道灌のエピソードの方が有名でしょう。

・・・以下「Wikipedia」より引用・・・
道潅が、父を尋ねて越生の地に来た。突然のにわか雨に遭い農家で蓑を借りようと立ち寄った。 その時、娘が出てきて一輪の山吹の花を差し出した。道潅は、蓑を借りようとしたのに花を出され内心腹立たしかった。 後でこの話を他人にしたこところ、それは後拾遺和歌集の「七重八重 花は咲けども 山吹の実の(蓑)一つだに なきぞ悲しき」の歌に掛けていると教わった。 古歌を知らなかった事を恥じて道灌は歌道に励んだという。

で、今日は私なりにこのエピソードを検証してみましょう。(笑
先ず「農家」というのが疑問です。
農民なら雨の日でも農作業をするために蓑を持っていないはずはなく、貧しくても藁や枯れ草ででも自分で蓑を作ってあったはずです。また、当時の農民に「七重八重」の歌を知っていて、それを「蓑一つ無い貧しさを古い歌にかけて八重山吹の花を差し出す」という粋な機転を利かせられるだけの学問があると考えるのは無理があります。
そうです。当然そこに住んでいたのは没落した公家の姫か士族の未亡人でなくてはなりません。外見は農家に見えても、農家ではなかったということです。

花を持って出てきた娘は、当然本人ではありません。
没落した公家の姫に忠実に従う側仕えの娘。士族の未亡人であるなら、その子と考えるのが順当です。
その家の主が私の仮説通りだとすれば、本人が出てきて蓑一つ無い貧しさを訴えるような恥を潔しとするはずはありません。
ネット上でこのエピソードを調べていたとき「花を差し出した娘が七重八重の歌を詠んだ」と書いているサイトもありましたが、それも上と同じ理由であり得ません。
家の主は、物陰から道灌を見たか娘から相手の身なりでも聞いたか、相手が身分の高い人物であることを知り、八重山吹の一枝で全てを理解してくれることを望んだのでしょう。

これはなかなか緊張感のあるやりとりです。
ここで道灌がそれを理解し、すかさず返歌でも贈っていれば流石と思うのですが、まだ彼もそこまでには達していなかったという事ですね。

最後に道灌は「古歌を知らなかった事を恥じて歌道に励んだ」だけで終わらず、当然この家の主に援助の手をさしのべていて然るべきだと思うんですが、その辺は何も書かれていないようです。

・・余談・・
江戸時代「山吹色」と言えば「小判の隠語」でもあったわけです。
 商人「お代官様、これはほんの手土産でございます。」
 代官「ほほう、見事な山吹色じゃ。○○屋、お主も悪よのう。」

・・ってな感じですが、この○○屋に一番ぴったり来るのは何屋だと思いますか?

私の印象では上州屋か河内屋かな。
押しも押されもしない大店(おおだな)と言うと、紀州屋、越後屋あたりで、族に押し入られて皆殺しになっちゃうのは、近江屋、三河屋とか、、、(爆
該当する地方の方、ゴメンナサイ。他意はありませんので。m(_ _)m

“八重山吹” への6件の返信

  1. 八重の山吹は良いですね。
    私も黄色よりも濃い色を学んだのは、山吹色というクレヨンの色だったかも。
    太田道灌の話は有名なので私も知ってましたが、
    それ以上深読みはしませんでした。
    そこを追求しちゃうあたりが、くまぱぱさんって事でしょうね。

  2. exifさん、いらっしゃい。
    こういう昔の話にちょっと突っ込んでみるのが好きなんです。
    ここはどうしたって、没落した公家の姫でしょう、やっぱり。(笑

  3. 奥が深い解釈ですね〜〜〜流石!
    仰る通りだとしたら、やはり姫だと
    ぴったりしっくりしますね〜〜〜
    う〜〜ん、道灌はもしかしたら知識が無かったことを
    恥じて、そこを二度と訪れなかったのかも・・・
    それとも、お姫様が好みではなかった???
    書かれてない事実に、興味が湧きました。ありがとうございます♪

  4. ASさん、いらっしゃい。
    「書かれてない事実」・・そうなんです。
    そういうところを探っていくって面白いじゃないですか。
    事実は分からなかったとしても、その過程が楽しいでしょ。

  5. ごめん、突っ込んでも良い?
    三河屋が暴走族に襲われてるのを想像しちゃって……(^^;)。

  6. たまさん、いらっさい。
    族=暴走族ですか?
    族=盗賊の世代なんですよ私は・・・と書いたら「賊」の字が違ってんじゃん。
    いやぁ、今気付いたわ。
    皆さん誰も気付かなかったのかな〜?(笑

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