美しい厄介者

07111102落葉松の黄葉が進んでいます。
天気の良い日の、青空をバックにした落葉松の姿は良いものですよ。
特に夕陽を受けて、針のような葉がキラキラ輝きながら散っていく様は、他に例えようがないほどの美しさです。

とは言え、昔の大規模な落葉松の植林が、八ヶ岳の植生をメチャクチャにしてしまったという事に変わりはないのですが・・・
以前「山番」という記事にも書いたのですが・・・昭和20年4月、八ヶ岳南麓は長野県側から小淵沢、長坂、大泉、そして高根の吐竜の滝付近まで1,000町歩(3百万坪)が全焼するという大火災に見舞われました。
その跡に、生育が早いというだけの理由で落葉松が植林されたのです。
本来なら、元々広葉樹だったところには広葉樹を・・要するに自然の植生の復元を目指すべきだったのですが、時は正に二次大戦終戦の年。とてもそれだけの余裕はなかったのかも知れません。
まあ、戦争なんかやっちゃイカンという事ですけどね。
住む家のない人も多かった時代ですから、例え掘っ立て小屋でも「早く材料になる」落葉松は時代の要求には応えていたのかも知れません。
でも結局、殆ど使われることなく平和な時代が過ぎ、落葉松は「建築用材としては失格」の烙印を押され、林業としての唐松林の存在価値はなくなってしまったのです。

落葉松に限らず、針葉樹はその森の中で命を育てません。
まあ、落葉松は落葉するだけマシな方かも知れませんけれど。
針葉樹林の中では、動物の餌になるような実の成る木が育ちませんから、広大な針葉樹林を持つ山では、そこに生きることの出来る動物の数は少なくなってしまいます。
野生動物が人里へ出てきて問題を起こすのは「森に食べ物がない」からです。
将来を考えるなら、今すぐにでも針葉樹林を減らして、落葉広葉樹を植えるべきなんですがね・・

落葉松の件とはまた別の意味なんですが、赤松についてこんな話を見つけました。→「森の囁き ~八ヶ岳でのログハウス生活~: 赤松亡国論