白駒の森〜崩壊と再生

08100901白駒の森を初めて歩く人は、倒木の多さに驚くことでしょう。
一抱え以上ある大木が、朽ちて倒れ、苔むして・・
それが幾重にも重なっているんです。

今歩いている遊歩道の下にも、どれだけの倒木があるか・・いや、この土そのものが倒木だったのでしょうね。

08100902比較的新しい倒木・・と言っても十年以上は経っているでしょうが・・樹皮の部分に苔が生えています。
全体を苔が覆い尽くすのに、どのくらいの時間が必要なのかな。
08100903スギゴケが胞子嚢をたくさん付けています。
比較的日当たりの良い場所では、苔も旺盛に育ちます。
でも、日当たりが良すぎては苔が生えにくいし・・白駒の森の光と影の絶妙のバランスが、緑の絨毯のような林床の苔を育てているのでしょう。
08100904苔もやがて枯れますが、その骸を苗床にして新たな苔が生え・・その繰り返しで苗床の厚みを増していきます。
そこに、シダなどが生えてきます。
更に苗床は厚みを増し、コメツガなどの実生苗が生えてきます。
08100905こうなってくると、元の倒木の種類など分かりませんね。
一応倒木の形をしていますが、殆ど土に還っているでしょう。
苔やシダだけでなく、コメツガやダケカンバなども実生から既に数年は経ったと思われる大きさに育ってきています。
やがて何十年の後に、これらの苗の一部が大木に育つのでしょうか。
その時、苗床となった倒木は完全に土になり、風雨に流されて消滅します。
白駒の森の大木の根元にある空洞は、そうして出来たものなんです。

そして、その大木もいずれは倒れる時が来る・・
数百年、数千年の太古から続いてきた崩壊と再生の繰り返し・・
その崩壊と再生こそがこの森の今の姿を作ってきたのですね。
秋の白駒池」を訪れた時に撮った写真です。
まだ続きがあります。次をお楽しみに。