「KURA」の記事で清里を考える

08083102信州を愛する大人の情報誌「くら」・・とあります。
「メルヘンを脱ぎ捨てた清里の魅力」というフレーズに惹かれて、その6月号を(今更ですが)手に取りました。

しかし、6月号がまだ書店で平積みになっているとは・・
地元の情報が掲載されているからでしょうかね。
内容は、八ヶ岳南麓にある数々の美術館、レストラン、蕎麦屋。そして定番スポットの清泉寮等々。
それらは決して新しい物ではないし、他のガイドブックや雑誌でも紹介されているものです。
でも何となく「今までとちょっと違う」というか・・「いい感じ」なんですよね。

マットな質感の用紙に、彩度を抑えた感じの印刷・・写真もレイアウトも悪くないと思います。
でも、そういう見た目の良さだけでない何か・・それは地元に近い長野市の出版社が発行していることが大きいかも。

もう一つ・・「メルヘンを脱ぎ捨てた」と、タイトルで言い切った雑誌はこれが始めてではないかな?

1970年代後半から80年代初頭にかけて「清里ブーム」と言われた時代があった事は知っている方も多いでしょう。
アンノン族と呼ばれた若い女性たちが清里へ大挙して押し寄せ、静かな高原の避暑地がメルヘン調(本来のメルヘンとは全く違うんですけどね)の軽薄な観光地に豹変した・・当時としては需要と供給のバランスがあればこその変化ではあったのだけれど、それを煽るマスコミと、商魂たくましく乗り込んでくる外部資本・・言うなれば「狂乱の時代」です。

ブームが去り、利に賢い資本が去り・・ピンクと水色の廃墟=メルヘンの残骸が残された清里。
ブームの頃の清里を気に入って何度も訪れた女性でさえ、今となっては「清里はもういいわ」と言うんです。
狂乱の時代の遺物は、正に負の遺産となって清里のイメージにのしかかっていました。

清里だって、いくら何でもそのままなんて事はあるわけがありません。
大変な努力をして意識を変え、街並みを変え・・大人向けの本物志向に変貌してきました。
金儲けだけが目的だった連中はとっくに清里を捨てて出て行ってしまった・・今残っているのは、この地に骨を埋める気の、この地を愛する人たち・・だから、今の清里はとてもいい感じになってきていますよ。
観光だけでなく、都会から終の棲家を求めてくる人たちも増えています。
そんな事を私もお客様に話す事は多いけれど、なかなか理解してもらえないですね。
要するにそれこそが負の遺産たる所以です。

そこへ、この「KURA」6月号では「メルヘンを脱ぎ捨てた清里の魅力」として、過去に「あまり感心できない時代」があった事と、それを「脱ぎ捨て」て、今は大人向けの本物の「魅力ある清里」に変わってきた事をはっきり言っています。
もちろん雑誌だから出来るわけで、行政や観光協会が・・特に当事者である山梨県や北杜市が観光キャンペーンやパンフレットなどで清里をPRする場合、昔の事には触れないで、今の清里の良さをPRするしかないのは、ある程度やむを得ない事なのでしょう。
その「今の清里の良さ」が、県外のお客様に何となく信用されていないような気がするのは私だけでしょうか?

繰り返しますが、長野県の出版社が、信州の情報誌に「メルヘンを脱ぎ捨てた清里の魅力」として、清里を中心とした八ヶ岳南麓エリアの紹介をしているんです。
八ヶ岳南麓・・山梨側、特に清里で観光に携わる人たちは、よくよく参考にして今後のイメージづくりに役立てていく必要があると思います。
何しろ山梨の人はイメージづくりが下手ですから、ここは素直に長野県を参考にするべきです。

私はこの件について更に別の考察もしているのですが、長くなるのでいずれまたの機会に書きたいと思います。
今回は一旦ここで終わります。

“「KURA」の記事で清里を考える” への4件の返信

  1. KURA・・・カントリープレス社の雑誌ですね。
    僕も『Nao』とか『ガイドのとら』とか、長野に行くとたまに買いますよ。
    確かに山梨って、売り出しがうまくないような・・・
    先日も山梨のタウン誌が休刊になりました。
    なんって言えばいいのかな?
    清泉寮、萌木の村、意外と知られていない、北杜のそば・・・
    良いものあるのに・・・
    僕は数年前に東京から移住してきたのですが、
    確かに不便もありますが、でも気に入ってますよ、山梨。

  2. さんちゃん、いらっしゃい。
    山梨も良いところは沢山あるし、実質的には長野とそれ程の差があるとも思えません。
    でも何となく・・やはりイメージづくりが下手ですね。
    結構がんばっているのを知っているだけに、残念な気がします。

  3. 僕も「KURA」や「Nao」は好きでよくチェックしています。
    長野県に基地がありますので、半分長野県民みたいなものですから。
    山梨のイメージつくりのまずさは確かに感じるのですが、その分野に明るくないため、
    具体的にどこがまずいのか、どうすればよいのかよくわかりません。
    ただ、なんとなく閉塞感のようなものは感じるのですが。
    ぜひ、くまぱぱさんの考察を伺いたいです。

  4. ひろなんさん、いらっしゃい。
    そうですね・・大抵の人が「イメージづくりが下手」だと感じていると思います。
    ただ、具体的に指摘できる人はそれ程多くないかも知れません。
    私が感じているのは、前にアルファブログにも書きましたが「ノリの悪さ」です。
    他にも色々あると思いますし、じゃあどうすれば、というところまでは私もまだ
    たどり着いていないんですが・・

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