霧の中にぼんやりと灯りが見えた。
踏切の警報機が鳴り、赤いランプが点滅する頃・・
その灯りが近づき、エンジンの音が聞こえてきた。
馴染みのあるライトグリーンの列車が姿を表した。
小淵沢16時26分発、普通列車の小諸行き。
甲斐小泉駅に到着だ。
濡れたレールにヘッドライトが反射する。
停車時間は1分。
列車を待っていた数名が乗ったが、降りる人は居なかった。
列車はキハ111と112の2両編成だ。
ガシャッとポイントの戻る音がする。
列車がカーブの向こうに消えるころ、エンジンの音が大きくなった。
ここからまた、上りの急勾配が続く区間だ。
やがてエンジンの音も聞こえなくなり、雨音だけが残った。

