一期一会

はじめに

膠原病(こうげんびょう)という名前だけは聞いたことがある方も多いと思います。
簡単に言えば、本来外敵から身を守るはずの免疫機能が自分自信を攻撃してしまう、という自己免疫疾患です。また、膠原病と一口に言っても多種多様な病気が含まれています。比較的身近に聞くものとしてはリウマチがあります。他に、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、シェーグレン症候群、混合性結合組織病等々、多数の病気が含まれます。
いずれも伝染性はありません。

ここでお断りしておきますが、私自身に医学的な知識はありません。自分が病気になって初めて色々と調べたり人から聞いたりした知識で、あくまでも私自身を基準に書いています。このページを読んで、ご自分の病気や症状について判断されるのは危険です。必ず専門の医師や医療機関にご相談ください。

発病・入院

2000年の夏は思いの外忙しかったです。その余波の残る8月末より体調を崩し、夏風邪と思って医者に行き薬をもらったのですが一向に快復しません。そのうち熱が高くなり、何軒かの医者に行ったあげく9月7日より山梨甲陽病院に入院となりました。
入院時には風邪以外の原因は考えにくく、それでも40度という高熱が数日以上続くというのは異常という事で「不明熱」と言われました。とにかく入院して最悪の症状だけは抑えながら精密検査をするという事以外は何も判らない状況でした。
39度?40度の高熱が入院前から入院後を通じて3週間続きました。解熱剤を使うと一気に下がるのですが、効き目が切れてくると全身が震えてまた熱が上がるという事の繰り返しで、フラフラで歩くことも出来ないような状態の日が続きました。

その間に数々の検査を受け、膠原病と呼ばれる自分の免疫機能が自分を攻撃してしまう病気の一種と告げられ、その後、正式には「成人スチル病」という病名を知らされました。

実は一昨年10月、今回と同じ症状でN市立病院で入院検査しております。
ところがN市立病院は何しろお粗末で、レントゲンと血液検査、尿検査しかしないで、結局原因は分からず、熱が下がったので退院という事になってしまいました。
今にして思えば、その時からずっと結合組織病の因子を抱えたままで、たまたま今年の夏の忙しさで疲労が溜まり、夏風邪もひいて、その因子が活動開始したということのようです。
今回の山梨甲陽病院の検査は子細にわたりデータを出してくれましたし、医師からの説明も解りやすく、信頼できる内容のものでした。

ステロイド剤

かつて膠原病は、不治の病として恐れられていたと聞きました。現在はステロイド剤のお陰で「取りあえず死ぬことは無くなった」というのが正直な現状で、完治は大変難しい病気らしいです。
ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)にしても「膠原病を治療する薬」ではなく「免疫機能を抑える薬」と言えば分かりやすいでしょうか。
その「免疫機能を抑える」というのが問題点でもあります。自分を攻撃させないために免疫機能を抑えている訳ですが、それは同時に外部からの侵入(感染症など)に対しても無防備になってしまうという事です。特にインフルエンザなどは命に関わるという事で、今年の冬は予防接種を必ず2回受けろと言われました。
不特定多数の人が集まる場所へ出ないこと、感染症にかかっている人に近寄らないこと、生の食品(刺身、生野菜、果物、漬け物など、熱を加えていない食品)は摂らないこと等々、言い渡されております。

ご存じとは思いますが、副作用もいろいろあります。
まず「胃潰瘍になりやすい」という事です。普通の風邪薬でも一緒に胃の薬を処方する病院が多いですが、私の場合は単なる胃薬ではなく「胃潰瘍の治療薬」つまり「胃に穴が空いてしまった場合の薬」を飲んでいます。
他にも、ムーンフェイス、中心性肥満、手足筋肉量の減少、レム睡眠時間の減少、骨質量の減少、等々。また長期になると、無菌性骨破壊など、非常に厄介な副作用が出ると言われています。

それでも他に効果的な治療法が無いため、ステロイド剤を使わなければならないわけです。実際の効果は大したもので、服用を始めてからは全く熱などの症状は出ていません。

入院中・退院

成人スチル病は他の膠原病に属する病気に比べて激しい症状は少ないようです。私の場合は高熱は出ましたが、関節痛など他の症状は軽かったようです。
しかもステロイド剤で症状が治まってしまうと、高熱の期間が長かったため多少身体に力が入らない感じはありますが、その他は普段と変わらない訳ですから入院生活は退屈以外の何物でもありません。本を読んだり、体力回復のために歩き回ったり、最後にはプラモデルを作ったりしていました。

しかし医師からは、なかなか退院を告げられません。後で知ったことですが、成人スチル病は膠原病の中でも再発する確率が高いのだそうです。とは言っても、いつまでも入院していては我が家としても困る訳です。話し合いの結果、以後は自宅療養と定期的な通院治療ということになり、9月30日に退院しました。

退院後の生活

退院してからは、最初は週一度、現在では二週間に一度通院して診察を受けています。
入院中は一日40mgから始めたステロイド剤も、11月8日には27.5mgまで減りました。通院しながら少しずつ減らして行きます。例えば10%減らして一定期間経っても免疫機能が自己攻撃を始めなければ、また10%減らすという事を繰り返す訳です。もし途中でも自己攻撃が始まれば、また薬の量が増えることになります。
薬を減らして免疫機能が強くなった場合に自己攻撃が起こるか否かは、私自身の自然治癒力にかかっているのだそうです。
医師からは、どんなに順調にいっても最低半年間、場合によっては相当長期間(暗に一生という意味かと理解しています)免疫機能の状態をチェックしながらつきあって行くしかないと言われています。

現在は体調も良く、健康時とほとんど変わりません。調子はどうですかと聞かれれば、良いですとしか答えようがないくらいです。
感染症予防のため外出時にはマスクをするなど気を使いますが、家にいるときは全く普通で、お客様のお相手も今までと変わらずにやっています。

強いて言えば、これも感染症予防のためなんですが、好物の生野菜や果物を食べられないのが辛いところです。

副作用としては、もともと太っているのであまり目立ちませんが、退院2週間後(ステロイド剤服用開始4週目)くらいでムーンフェイスの兆候が出てきました。また、入院中に落ちてしまった手足の筋肉がなかなか回復しないのですが、これは副作用とばかりは言えないので回復に務めています。他には今のところ、これと言った副作用は出ていないようです。
(2000.11.29)

退院後の生活(2)

ステロイド剤のせいで2000年の年末頃から肥満が強くなり、体重が110キロに達しました。9月末の退院時が88キロほどでしたから22キロも太ったことになります。
膠原病そのものの心配もありますが、このままでは成人病の方が心配だと言うことで、医師からも減量を指示されました。また、ステロイド剤を出来るだけ早く減らそうという事で今までよりも薬量を減らすピッチが早くなりました。ほぼ2週間で2.5ミリグラム減らし、4月には1日5ミリグラムとなりました。体重も98キロまで減りました。
また、年明けには生物食も解禁されており、生活上の制限はほぼなくなりました。

このころから、朝起きたときに関節が浮腫んだような、動きにくいような感じがありました。その感覚は徐々に強まり、朝だけでなく、しばらく同じ姿勢をしていた後で動くときに間接が動きにくく、少々痛みが出てきました。
一時的に体重が増えすぎたせいかとも思い、4月の診察では医師には言わなかったのですが、やはり少しおかしいので5月の診察の時に医師に言うと、ステロイド剤の減量が少し早すぎたかも知れないとの事で、少し増やしましょうかと提案されました。
ただ、ステロイド剤自体に筋肉を減らす副作用もあると聞いているので、私自身はどちらとも判断しかね、6月の診察の時に詳しい検査をするという条件で、現状維持の1日5ミリグラムの服用を続けました。
(2001.6.13)

6月の診察では、やはりステロイド剤の減らしすぎとの判断でした。私も関節が痛いのは困るので、医師と相談の結果ステロイド剤を10ミリグラムに増量することにし、4週ごとになっていた通院診察を2週ごとに増やしました。
2週間後(6月27日)の診察時には間接の痛みは無くなっていました。やはりステロイド剤の減らしすぎという判断は正しかったようです。
現在私は、退院以来ないほど体調が良く日常生活には全く不便を感じません。しかし、1日10ミリグラムのステロイド剤を飲み続けていることに変わりはなく、2週間に1度の通院という制約もあります。何しろ夏のペンションは忙しく、特に今年は暑い夏になりそうで、体力的な不安もあります。途中に休業日をはさみながら、体力の回復に努めて乗り切るつもりでいます。
 ・甲陽病院の薬剤師の方がこのページを見つけてくださったそうです。/(^_^ );
(2001.7.5)

退院後の生活(3)

まもなく夏のシーズンも終わろうとしています。
今年の夏は適当に休業日を設けて体力維持に努めたため、何とか無事に乗り切ることが出来ました。22日の通院検査では特に異状は無く、ステロイド剤も10mgから9mgに減らすことができました。通院日の数日前からちょっと風邪気味だったのですが、抗生物質を処方してもらい、特に問題なく回復しました。
そういえば、そろそろ発病して1年になります。去年の今ごろは夏風邪のための高熱と思って風邪薬を飲んでいましたっけ。
(2001.8.29)

その後、ステロイドは6mgまで順調に減らし安定しておりましたが、11月の診察のとき甲陽病院の先生方がほとんど総入れ替えになるとの話を聞きました。詳細はひかえさせていただきますが、病院の運営上の都合ということです。今までお世話になった先生が居なくなるのは何となく釈然としないものです。
ともあれ、2001年も無事に終わろうとしています。 (2001.12.31)

退院後の生活(4)

昨年の大晦日以来ですから、ずいぶん長く間が空いてしまいました。
病院の先生方は替わりましたが、新しい先生も入院以来お世話になった先生に劣らず親切で信頼できる先生です。通院は月に一回となり、生活上の制限はほとんどなくなりました。
発病から2年がすぎ、以前にも増してじっくりと治療が続いています。
夏休み前から特に異常はなく、マイペースで夏のハイシーズンも乗り越えることが出来ました。以前ステロイド剤を5mgに減らしたときにスチル病の症状が出てしまったので、今回は6mgの期間を長く慎重に経過を見てきたのですが、9月の診察でついに5mgに減らすことになりました。しばらくは症状が出ないことを祈りながら過ごすことになりそうです。
(2002.9.6)

ご意見をきかせてください

この夏にお泊まりになった若い女性のお客様から、ご自身がスチル病であることを告げられました。このホームページを読んでいただいたとの事でした。ハイシーズン中でゆっくりお話しする時間がなく残念でしたが、これをお読みになったらメールでもいただければ幸いです。
また最近、相次いでこのページを読まれた方からメールをいただきました。
お嬢さんがスチル病らしいが病院側の(ステロイド使用の)判断が決まらず、入退院を繰り返しているというお母さん。ご自身が今年7月にスチル病と診断された女性の方。昨年になりますが、退院して職場復帰された女性からもメールをいただいています。皆さん悩んだり悲観したりする中で、何とか前向きに生きていこうと考えて居られます。
少しでもこのページが、私と同じ病気に苦しむ人の心の支えになってくれるなら、こんなに嬉しいことはありません。

現在、あらゆる膠原病に属する病気の中でスチル病に関する情報は極端に少なく、不安を抱いたまま過ごしている患者と家族の方は沢山いらっしゃると思います。
スチル病は子供と若い女性に多く、子供以外の場合に「成人スチル病」と呼び、私のような中年以降の男性に出ることは珍しいそうです。この病気に苦しむ人は多いようですが、この「若い女性に多い」というのがネックとなり、情報発信の少なさに繋がっていようです。確かに、自分が病気であるということを表に出すのは勇気が要ることです。

私は、プライバシーが守られるという絶対条件の下に、スチル病についての情報を交換し、体験を語り、互いに相談できる、そんな「ネット上の場」を作ろうと思うのです。
幸い私は、ネット上のシステムをある程度操作できる技術を持っています。またセキュリティーのしっかりしたサーバーも使えますので、上記のような「場」を作ることが出来そうです。
ただし参加してくださる人が居なければ「場」だけ作っても無意味です。そこで、このページを読んでくださったスチル病患者ご自身、またはご家族の方におたずねします。
そのような「場」づくりに賛同していただけますか?
賛同する、しない、その他ご意見がありましたら自由に書いてください。
ご連絡はこちらのフォームからどうぞ
(2002.9.18)

上の呼びかけに対して5人の方からメールをいただきました。
いずれも程度の差こそあれ、ご自身の病気に悩んだり悲観したり、またそれを乗り越えてこられたスチル病の患者さんご本人の賛同のご意見でした。
ありがとうございました。
これで私の気持ちも固まりました。今後はどのような方法で「ネット上の場」を作っていくか、考えながら進めていきたいと思います。
もちろんまだまだご意見をいただきたいので、これらもよろしくお願いいたします。
(2002.12.25)

退院後の生活(5)

昨年の9月に5mgに減らしたステロイドですが、その後特にスチルの症状も出ず、この2月から4mgに減らすことになりました。
以前、6mgから5mgに減らした時に症状が出て10mgに増量した前歴があるだけに、本当に慎重にゆっくり減量するしかない訳です。こうなると、私としては長期間投与の弊害の方も心配なんですが、スチルがぶり返すのも困るので仕方がないです。

息子が小学6年で私がPTAの会長をやっています。本来、健康な方にやって貰いたいものですが、諸般の事情があって引き受けました。
それもこの3月で息子が卒業して終わるのですが、最後に近くなってこの冬の寒さはこたえますね。巷ではインフルエンザが猛威をふるっています。感染症に細心の注意をしなければならない身としては、この時期の会議や会合は本当に困ります。「お父さん、命がけだよ。」と冗談めかして、冗談じゃないことを言っています。

私の「スチル病の情報交換の場を」の呼びかけに対して10人の方からメールをいただいております。今そのための準備を始めていますが、このところ雑事が多く多忙のためなかなか進みません。必ず実現させますので、しばらくお待ちください。
(2003.2.10)

退院後の生活(6)

6月からステロイドが3mgに減りました。
今のところ調子はよいようです。

さて「スチル病の情報交換の場を」の兼ですが、このところ一気に増えて合計18人の方から賛同をいただいております。先ずは準備のためのメーリングリストから立ち上げるつもりで、既にメールをいただいた方には間もなくご案内させていただきます。
可能な方にはご意見をいただいて、皆さんの役に立つ方向を考えたいと思います。
(2003.6.9)

メーリングリスト

何とかメーリングリスト(ML)のスタートにこぎ着けました。
現在のメンバーは私を含めて18人です。プライバシーに関わる話題を予想して、登録メンバー以外は投稿も講読も出来ないクローズドのMLです。
(2003.6.26)

退院後の生活(7)

7月にステロイド2.5mgに減りました。
夏前なので多少心配でもあったのですが、減るに超した事はないのでOK。

今年の夏は天候不順でお客様も少なく、ペンションとしては大変困った状況だったのですが、自分の体には良かったのかも知れません。何となく疲れたなぁ、という感じで9月の診察でステロイドが増える事も覚悟していたのですが、検査では全く問題なく、逆に2mgに減るという嬉しい結果でした。
(2003.10.1)

メーリングリスト(2)

メーリングリストは31人のメンバーとなり、賑やかに楽しく続いています。
10月4日に我が家で「お泊まりオフ会」を行いました。
遠くの方や体調の優れない方も居るので参加者は家族の方も含めて11人でしたが、大変楽しく盛り上がりました。ポイントは「病気の事を忘れる」ではなくて「みんな同じ病気なんだ」と認め合ってしまう事でしょうか。あれほど気持ちの良い集まりは久しぶりでした。
今、MLでは思い出話に花が咲いています。

そろそろスティル病についてのホームページも具体化しようという事になり、相談も始めています。
(2003.10.17)

最近特にML参加希望の方が多くて、現在のメンバーは48人になりました。
ホームページの名前は「パンダ共和国」に決まり、MLメンバーのまりもさんにイラストを描いていただきました。これから具体的にコンテンツの相談に入ろうとしているところです。
(2004.5.20)

退院後の生活(8)

大分ご無沙汰してしまいました。
ステロイドはこの4月に1mgに減っていました。

先日、5月の通院検査で全く数値的に異常が無く、特に自覚症状もない事から、今月でステロイドをやめてみる事になりました。
再発しやすい病気であり、今後も何時症状が出るかは分かりません。数年以上過ぎた後でも再発の可能性があり、完治したかどうかは結果として死ぬまで分からないのだそうです。
「とりあえず今は必要ない」という医師の判断で断薬することになりました。
もちろん月一回の通院は続きます。私の場合は発病が夏なので、当分の間は注意が必要かな。とは言っても何に注意すればよいのやら。とにかく心配な症状が出たらすぐに病院へ行くしか無さそうです。
(2004.5.27)

この後のこと・・

これ以後は、何か変化があれば「くまぶろ」に書いて、ここへトラックバックすることにします。
以下に表示されるトラックバック送信元の記事をご覧ください。

メーリングリスト(3)

メーリングリストのシステムが終了してしまい、それに変わるものとして希望者だけでFacebookを利用したヒミツのグループを立ち上げました。
メンバー以外は書き込みも閲覧もできないグループです。
Facebookに加入することが条件となりますが、情報交換をご希望の患者の方は「くまパパへ連絡」からご連絡ください。
できるだけ対応します。
(2012.12.25)

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