ねじりパンの記憶

040909ねじりパンというのをご存じですか?
パン生地を長くしてねじって形を作り、揚げて砂糖をまぶした菓子パンです。最近ではツイストドーナツ、ロングツイストなんて名前でも売られていますが、似て非なる物と言うか、私の中ではねじりパンはあくまでもねじりパンなんです。

私の記憶は2歳の時(昭和32年)から始まります。新宿の都営アパートから北多摩郡秋津町(今の東村山市)の庭付きの都営住宅へ引っ越しました。荷物を運び出して何もなくなった薄暗いアパートの部屋。裏窓の外で飼っていた犬を窓から中へ入れて表へ連れ出した事。(ここから新しい家へ着くまでの記憶は飛んでいます)新しい家へ着いたら、荷物を運ぶトラックで先に着いていた父と引っ越しの手伝いに来た父の仕事仲間が玄関先で大きな緑色の紙(ワックスペーパーなのか?細いストライプ状の濃淡のある紙)を広げていて、そこに山のようにパンがあった事。その中から「ねじりパン」を貰って食べたのが私の食べ物に関する一番古い記憶です。

そんな訳で、私にとってねじりパンは特別な物です。
先ず最初に、生地はパン生地でなければなりません。ドーナツ生地、デニッシュ生地などもそれはそれで美味しいとは思いますが「ねじりパン」ではないのです。
次に、油で揚げなくてはなりません。あの香ばしさと、パンに残る油に砂糖が絡まる感じが美味いのです。アウトドアで焼いたものも、それはそれで美味しいですが、私の「ねじりパン」とは別の物です。
最後に砂糖は上白糖でなければなりません。ちょっとくどいと言えばくどい甘さが揚げたパンの香ばしさに合うのです。最近は粉糖をまぶした物もありますが、揚げたパンには弱すぎます。昔は高級品だったグラニュー糖でも美味しいですが、私の記憶の「ねじりパン」ではありません。

私にとって、新しい家の玄関先で父と食べた「ねじりパン」こそがパンの原点なのだと思います。

“ねじりパンの記憶” への2件の返信

  1. ねじりパンへのこだわりが伝わってきます。
    でも何より驚くのは2歳の記憶があること。
    すごいですね。

  2. 環境がガラッと変わった、というのが記憶に残った原因でしょうか。
    「荷物を運び出して何もなくなった薄暗いアパートの部屋」、、これが子供心に強烈なインパクトを与えたんでしょう。
    さて、パン3部作(?)ですが、次は「カレーパン」を予定しております。
    お楽しみに。

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