入り口はゴッホだった

05042201この写真、シルエットですが分かりますか?
多分世界で一番有名な画家です。イーゼルや絵の具箱、カンバスを背負ってオーヴェルの田園地帯を歩くゴッホです。(ザッキン作の彫像/山梨県立美術館)
ゴッホの作品の評価や解説は専門家に譲って、ここでは私の思い出を書きます。昔から図工の教科書には必ずゴッホの作品が出ていましたが、子供心にも好きだとは思わなかったですよ。絵は上手く描くものだと思っていましたからね。

中学に入って美術と呼び方は変わったある日、授業で学校周辺の写生をしました。画面の中の一軒の家の赤い屋根の色がどうも思うようにいかず、さんざん考えた末、勝手に青い屋根にしてしまいました。見回って来た先生が「あれっ?」と言ったので、黙って先生の顔を見て頷きました。なにか言われる覚悟はしていたのですが、先生も黙って頷くと、親指をぐっと立てて行ってしまいました。
1ヶ月後、その絵が市の中学校写生展で銀賞に入った事を知らされました。


05042202「そうか。絵は見たままに描かなくてもいいんだ。自分が感じたように描けばいいんだ。」
何も言わずに私の絵を市展に応募してくれていた先生のお陰で、私はそれを知る事ができました。そしてゴッホも好きになったんですよ。私が13歳の時でした。

うちの息子は、ますむらひろしさんのマンガ「アタゴオル」のファンで、一連のコミックスは大体持っていると思います。(笑
この間、近所の書店に注文してあった新刊を受け取ってきました。(左の写真です)
見るとゴッホじゃないですか。「へぇ〜分かるのかな?」と思いましたが口を出さずにおきましたら、翌日「結構面白いよ」と言うじゃないですか。
「お主、なかなかやるな!」とは言わずに「じゃあ貸して」と言って読んでみました。
05042203ゴッホの「自画像」とスミレ博士が対峙していたり「跳ね橋」の下でヒデヨシが釣りをしていたり。如何にもアタゴオルらしいですね。でもこの本の場合はちょっと違うんです。
ゴッホに対して寄り添うような不思議な感覚があるんですよ。
ますむらさん、ゴッホを愛してるね。作品の最後を「・・・心からの、握手を・・・」で結ばれている事で、それは確信できました。
あとがきの「ビンセント計画」には、私も思い当たる事が書かれていますが、ここではこれ以上書きません。是非この本を買ってお読みください。

・ますむらひろしさんのサイト「ごろなお通信
・ゴッホについて参考サイト「東京国立近代美術館:ゴッホ展 孤高の画家の原風景」 「悲劇の画家ゴッホ

“入り口はゴッホだった” への16件の返信

  1. 山梨県立美術館ではゴッホがお出迎えしてくれるのですね〜!素敵!!
    奇遇にも明日「長崎県立美術館」のオープンなんですよ^^
    長崎は美術館やギャラリーなんかが少ない気がするので嬉しいです。わりと近代的なデザインなんですよ。コンセプトは呼吸する美術館!だそうです(^^;
    ちゃんと取材してきます(笑)待ってて下さいね〜!
    それにしても鮮やかな色使いの本ですね〜(*^^*)

  2. パピコさん、いらっしゃい。
    呼吸する美術館ですか、何か楽しそうですね。
    レポートをお願いしますね。
    この本の鮮やかさは、やっぱりゴッホの作品から来ているのです。

  3. 絶対買う!何てタイミングなんでしょうか?!
    友人に「ゴッホ展」の券を貰ってますので5月に東京国立近代美術館に行くんです、そして、ヒデヨシ〜〜!スミレ博士はわしなんじゃあ〜。実は今日マンガネタをブログに書いてます、勿論ますむらさん。お気に入りに「ごろなお通信」ああ、今日は何て日なんだ!
    くまぱぱさん、大感謝!トラバさせて下さい〜〜〜!(感涙)

  4. 今日はマンガの話

    いやあ、久々にマンガの話。 好きなんで、困るね。
    exifさんのブログで、素敵な猫とリザードの彫像を観まして、綺麗なのと、ますむらひろしさんの話がコメントであったので、つい・・・・・(おいおい)
    ますむらひろしさんは、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」という名作をアニメーションで、猫で描きました。ご存知の方も多いと思いますので、ここでは触れません。
    ますむらさんは、一番最初「霧にむせぶ夜」というマンガで、賞を獲ったんですけど、その絵は今のようにデザイン化されてない、毛の一本一本描いてる?とい…

  5. ゴッホの絵は見るけれど本人の姿はなかなか見る事が出来ませんから良いですね。
    肖像画は似ているのだろうけれど、彫刻は本物に似ているのかな?
    ヒロシです・・・。
    名前を呼ばれたかと思って間違って出てしまったとです。
    「ますまらひろし」なかなかみなさん思い入れがありますね。
    私も一時期はかなりはまっていましたが書庫にしまってあるのと
    ずいぶん昔の事なので思い出せなくて下手な事書けません。(^_^)

  6. ASさん、いらっしゃい。
    ゴッホ展、いいですね。
    私も行きたいのですが、ちょっと遠いなぁ。
    息子がアタゴオルのファンなのは書きましたが、この本のお陰で、
    ゴッホとか他の画家にも興味を持ってくれたようなのです。
    期待はしていなかったのですが、アートに興味を持ってくれたのは
    私としては嬉しいので、、。
    で、考えた見たら、私の場合もアートへの「入り口はゴッホだった」
    のを思い出したと言う訳で、、この話はたぶん続きます。(笑

  7. exifさん、いらっしゃい。
    そう、本人の姿は見られないですよね、普通は。(笑
    この写真の彫像は本人に似てるかどうかは分かりません。
    でも、オーヴェル時代と言うと、既に彼が精神に破綻を来していた時期と言うか、
    自殺する直前ですから、なにか言いようのないムードは漂っていますね。
    ヒロシ、、、最近有名ですね〜、、で、誰ですか?(笑
    長坂のCDショップでポスターを見たけど、それ以外の事は何も知りません。
    テレビでも見た事ありません。
    第一、ここ数ヶ月(地震のニュース以外は)テレビを見ていないなぁ、、、(爆

  8. ちょっと追記を・・・
    ゴッホがオーヴェルに居たのは自殺直前の70日間くらいなんです。
    その間、1日1作の勢いで猛烈に絵を描いていたそうです。
    自分に時間がないのを感じていたのでしょうね。
    自殺の直接の切っ掛けは、自分を経済的に支援してくれていた弟のテオが
    過労で倒れた事に責任を感じたという事らしいです。
    そしてゴッホの死の半年後にテオも後を追うように亡くなっています。
    本当に愛し合った兄弟だったのでしょう。
    兄37才、弟34才、何とも悲しい話です。

  9. こんにちは、お邪魔致します。
    良い先生に巡り合えて、羨ましいエピソード
    でした。感じたままを絵にするというのは、
    思う以上に難しいことなのではと感じています。
    写真は、かつては『光画』と呼ばれたそうですが、
    気に入りの著作中に、フォトグラフは『真を写す』
    ではなく、『光で描く』ほうがしっくりくると
    いうような一説があったことを思い出しています。

  10. warabieさん、いらっしゃい。
    確かに「光画」と呼ばれていたのは私も知っています。
    マンガですが「究極超人あーる」の中で、主人公の通う高校の写真部は
    「光画部」だったと思います。
    (すみません、知らない人の方が多い話で横道にそれました。)
    確かに写真は真を写しませんね。
    写っているのは「作家の意志」という真実でしょう。

  11. 中学時代のエピソード、素敵ですね。
    私がゴッホに興味を持ったのも中学生の頃でした。
    ゴッホの世界に紛れ込んだヒデヨシ(これがヒデヨシですね^m^)。
    これいいですね。買っちゃおうかな。

  12. 虹子さん、いらっしゃい。
    あの時の美術の先生は忘れられないですね。
    卒業後は残念ながら一度もお目にかかっていないですが、、。
    ゴッホが好きでヒデヨシが好きならお薦めですよ。
    記事のリンクから買っていただけると、私にお駄賃がでるのでよろしく。(笑

  13. ゴッホ
    他の多くの人と同じように、私も印象派から絵画を見るようになりました。(高校くらいかな)
    その流れで、(絵は見ますけど、いまいち歴史的背景とか、派のつながりとかは不勉強なんですが)
    ゴッホも見たのですが、
    同じ点描(?)でもこんなに力強い、エネルギーのいっぱい入った絵って、と思いました。
    それまでも、たぶん、有名な人ですから、
    見たことはあったのでしょうけど、
    そのときの、すごい衝撃は覚えています。
    息子さんも、なんとなくエネルギーを感じたのでしょうね。

  14. ますむらひろしの「アタゴオル物語」、茶色く焼けてページが抜け落ちてくるくらいぼろぼろになりましたが、我が家の愛蔵版として本棚に並んでいます。
    「ゴッホ型猫の目時計」、楽しそうですね。背後からPCを覗き込んでいる家族が「ほしい〜〜!」と目を輝かせています。

  15. Anneさん、いらっしゃい。
    ゴッホはすごいエネルギーの持ち主ですよね。
    あまりにエネルギーが大きすぎて、自分でコントロールする事が出来なかったのでしょう。
    彼の人生は悲しい終わり方だったけど、作品には生きていると思います。

  16. chaoさん、いらっしゃい。
    アタゴオルファンがここにも居ましたか。(笑
    ますむらひろしさんのゴッホへの思いが伝わってくるようで、私はすごく気に入りました。

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